こんにちは。
古田ひろきです。
10月に入りましたね。
10月1日で28歳になりまして、ブログを改めて頑張ってみたいなと思っています。
最近読んでいた本で幼保無償化に関するものがありましてね。
私は幼保無償化に根本から反対の立場でして。
ちょうど、導入されて1年が経ったので、ここで、政策の成果やそもそも論まで、簡単にですが、個人的な意見も多分に盛り込みながら、考えてみたいと思います。
幼保無償化の導入
令和元年10月1日より3〜5歳児クラスの幼稚園、保育所等の利用料が無償になりました。
日本では、制度導入前から世帯収入によって入園費用を段階的に定められる「応能負担」を採用しています。
また、5歳児の98.3%のこどもは幼稚園や保育園、こども園などに通っています。残り1.7%の子供は重度の障害や病気で通えない子供、あえて親の意向で通わせていない子供達と言われています。
そんな中、導入が決定されたこの制度で現場の負担は増し、利用者への恩恵は薄いのです。
後でも述べますが、「フリーランチ」は絶対にありません。
無料ほど高い買い物はないのです。
質の低下、保護者の負担
無償化に伴って、預けなくてもいい方も預けるようになります。
そうすると、園の教諭の人手不足は加速します。
このような制度は、2000年にノーベル賞を受賞したジェームズ・ヘックマンが書いた論文に基づくものだと言われています。
「就学後の教育の効率性を決めるのは、就学前の教育にある(前谷毅『疑問だらけの幼保無償化』扶桑社、2020年、p77)
しかし、見落としてはならないのは、この「教育の内容」です。
「高所得を得たり、社会的に成功する上で、重要な能力は認知能力と非認知能力の両方である。根性、忍耐、やる気といった能力は社会的に成功する上で重要だ。就学前の教育の効果の多くは、非認知能力とやる気を育てることから発生する。(前谷毅『疑問だらけの幼保無償化』扶桑社、2020年、p78)
非認知能力とは学力テストでは計れない能力のことですので、園に入れるだけ入れて質が落ちてしまえば、本末転倒もいいところです。
教育は、やはり質を求めるべきでしょう。
教諭の負担は重くなる一方で報酬に変化はほとんどありませんので、あまりにも安易な政策を言わざるを得ないと思います。
そして、無償化という響きで働きに出ようとする方も増えてくると、入園の競争率は高くなり、保活と言われる入園のための活動も一層厳しさを増すことでしょう。
無償化の対象は3歳児以降ですから、第一子を預けることができ、働きに出た女性も、第二子出産した時には3年間は制度の対象外となり負担は増加します。また、心理的負担はさらに高いでしょう。さらに、入園の競争率が高くなってますから、きょうだいと同じ園に入れることが難しい人もでてきて、送り迎えの負担も大きくなるという事態が起こってくると予想もできます。
待機児童問題の加速も避けられないでしょう。
本当に入園させないといけない人が苦労するというのはなんとかしなければなりませんが、このような制度を作られてしまっては、なかなか難しいでしょう。
迷宮入り!幼保無償化推進の論理
2017年の自民党の公約の中で、「人づくり革命」と銘打って、次のように語っている。
「幼児教育無償かを一気に加速します。2020年度までに、三歳から五歳までのすべての子供たちの幼稚園・保育園の費用を無償化します。〇歳から二歳児についても、所得の低い世帯に対して無償化します」
しかし、民主党政権時代に「子ども手当」を「バラマキ」だとして、自民党が徹底的に批判しています。
子ども手当(こどもてあて)は、15歳以下の子どもを扶養する世帯を対象に、政府は2010年6月から月額1万3000円を支給してきた。2011年4月からは、当初マニフェストで公約したとおりの2万6000円を支給する予定だった
財源不足を理由に撤回することになりましたが、その後に、当時の石破茂政務調査会長名で「バラマキ政策撤廃の第一歩」とタイトルをつけた文章で衝撃的な内容を発表しています。
所得制限を設けることにより、民主党の「子どもは社会で育てる」というイデオロギーを撤回させ、第一義的には子どもは家庭が育て、足らざる部分を社会がサポートする、という我が等のかねてからの主張が実現した。(前谷毅『疑問だらけの幼保無償化』扶桑社、2020年、p39
この所得制限と言っても、上限年収960万円としているので、だいたいの家庭が対象となっているというオチまでサービスされてます。。。
大批判していた政策をわずか4,5年で、自民党の看板政策として断行するとは、どのような神経をしているのか。
矛盾だらけで理解不能です。
無償という言葉
無償化と言われると出費なしで子どもを預けられるのかと想像してしまいますが、給食費がすべて実費負担となりますので、今まで以上の出費になっている方もいて、自治体で補助しているところもあります。
給食費は、園毎に独自で徴収しなければなりません。
お金の徴収にも非常に気をつかわなければならず、負担増し増しです。
その上、幼保無償化の費用の財源は消費税を上げてまかなうことになっています。
すでに、まかなえていないという見込みの甘さも露呈して笑えませんね・・・
必要な経費は最終的に4375億円となり、財源が493億円不足する見通しになったということです。
また、内閣府によりますと今回の調査を踏まえると来年度の経費も当初の想定の7700億円を上回り、8000億円を超える見通しだということです。
無償化にかかる経費は来年度以降、一部を地方自治体が負担することになっていて、自治体の負担も増す見通しです。
(NHK政治マガジン 幼保無償化 約500億円の財源不足に 保育所利用者が想定上回る 2019年12月12日)
謎だらけの構図です。
無償化という名がついています。
無償という言葉は、「無償の愛」「無償の奉仕」に使われるように、見返りを求めないものに対して使う言葉です。
子ども手当という言葉の法が政策らしく、かわいいものです。
無償化という言葉を使うあたりに、政治的パフォーマンスが現れていますし、
消費税増税という形でしっかり見返りを何倍返しにもして求めてきているのです。
許せません・・・
「フリーランチはない」という言葉は金言です。
無償化をはじめとするばらまき政策で負担するのは、我々だけではありません。
我々の子ども、孫やその先の世代にまでツケを残してしまうのが大きな政府の特徴です。
福祉国家という一見すると優しいような社会は、本当は非常に残酷で「自分さえよければ何でも良い」というような冷酷な社会でもあるのです。
日本に夢を、子どもに未来を。
未来は明るいと感じる政策を考えていきたいと思います。